こんにちは。Nです。
新型コロナウイルスが流行しだして2度目の夏を迎えようとしています。
世界中全ての人間に大きな打撃を与えた新型コロナウイルスですが、全ての人間が平等に同じだけの影響を受けたわけではなさそうです。
本日は、コロナ×男女格差というテーマで記事を書きたいと思います。
コロナで拡大した全世界の男女格差
男女格差問題は、依然として大きな問題としてありながらも、多くの政府系機関、団体、民間企業などのイニシアティブにより少しずつ改善されてきました。
しかしながら、今回のコロナにより再び男女格差が拡大したと言われています。
2021年3月31日、World Economic Forum(WEF)は、2021年版Global Gender Gap Reportを発行しました。(WEF, 2021)
2020年版のGlobal Gender Gap Reportでは、世界全体での男女格差解消まで99年要すると計算されていたにもかかわらず、2021年版では、135年となってしまいました。
コロナの影響により失業した割合が女性の方が多いことが大きな原因として挙げられています。
コロナの影響を受けやすい飲食、ホテル業では女性が多く、影響を受けにくかったIT業界などでは男性の割合が多いことが上記の結果に起因していると分析されています。
コロナで拡大した日本の男女格差
日本においても、、、
いや、日本では他の先進国よりもコロナは男女格差問題へ大きな影響を及ぼしているかもしれません。
日本政府は、2021年6月11日、2021年版男女共同参画白書を閣議決定し、女性の非正規労働者や母子家庭などの弱い立場にある人がコロナの影響を受けていることを指摘しました。(CAO of Japan, 2021)
本白書では、女性(シー)と不況(セッション)をあわせた「シー・セッション」と呼ぶ、女性の雇用悪化が進んでいることを指摘しており、女性の非正規労働者が2020年3月以降13か月連続で減少していることを明らかにしました。
また、コロナで在宅時間が増えたことにより、ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害が増加傾向にあります。全国の配偶者暴力相談支援センターとインターネットの相談窓口に寄せられた相談件数(2020年度)が、昨年度の1.6倍にまで膨れ上がったそうです。
加えて、自殺者数においても男性が前年度から減少しているのに対し、女性は935人も増えています。
男女平等後進国としての日本
日本と言えば、名目GDP世界3位の経済先進国です。
しかし、男女平等社会の実現という観点では、後進国と言えます。
「Global Gender Gap Report 2021」では、経済、教育、健康、政治参加の4分野の観点から世界各国の男女格差を測定した「ジェンダーギャップ指数」を算出しています。
日本は、156か国中120位でした。(WEF, 2021)
ちなみに、119位はアンゴラ(MOFA of Japan, 2021a)、121位はシエラレオネ(MOFA of Japan, 2021b)です。
日本は、経済、政治参加にて特に遅れが目立っています。
2019年の「国際女性デー」に合わせてILOが発表したレポート「A quantum leap for gender equality: For a better future of work for all」によると、大手上場企業の取締役女性比率は、フランス、ドイツ、イタリアでは30%を超え、イギリスやカナダも20%前後、アメリカにおいても17%となっています。
しかしながら、日本はたったの3.4%となっています。(Beghini et al., 2019)
2021年にInter-Parliamentary Union(IPU)が発行した「Women in Parliament in 2020」においても、女性議員の世界平均割合が25.5%にも関わらず、日本はたったの9.9%(166位)でG7諸国で最低の結果となっています。(IPU, 2021)
男女格差問題は、世界規模での社会課題ですが、日本では特に大きな問題と言えるでしょう。
さいごに
“差”を完全に無くすことは不可能だと思います。
それは、性“差”だけではありません。
生まれ育った土地、家庭、生まれ持った能力など必ず“差”は存在します。
しかし、人間の良心、思いやりによって埋めることができるにも関わらず、存在し続ける格“差”が多く存在します。
男女格“差”の中にも、単なる性“差”と差別と言えるようなものがあると思います。
平等でなくとも、公平な社会が、人間の良心、思いやりによって気づきあげられると良いと思います。
参考文献
- Beghini, V., Cattaneo, U. and Pozzan, E. 2019. A quantum leap for gender equality: For a better future of work for all. [Online]. Geneva: ILO. [Accessed 24 July 2021]. Available from: https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—dgreports/—dcomm/—publ/documents/publication/wcms_674831.pdf
- Cabinet Office of Japan. 2021. 男女共同参画白書. [Online]. Tokyo: CAO. [Accessed 24 July 2021]. Available from:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/index.html#pdf
- Inter-Parliamentary Union. 2021. Women in Parliament in 2020. [Online]. Geneva: IPU. [Accessed 24 July 2021]. Available from: https://www.ipu.org/women-in-parliament-2020
- Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021a. Republic of Angola. [Online]. [Accessed 24 July 2021]. Available from: https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/angola/data.html
- Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021b. Republic of Sierra Leone. [Online]. [Accessed 24 July 2021]. Available from: https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_leone/index.html
- World Economic Forum. 2020. Global Gender Gap Report 2020. [Online]. Geneva: WEF. [Accessed 24 July 2021]. Available from: https://jp.weforum.org/reports/gender-gap-2020-report-100-years-pay-equality
- World Economic Forum. 2021. Global Gender Gap Report 2021. [Online]. Geneva: WEF. [Accessed 24 July 2021]. Available from: https://jp.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2021
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