ファッション×環境問題

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明けましておめでとうございます。Nです。
1月は、SALEや福袋の販売を行っているアパレルショップも多く、洋服やファッションアイテムをたくさん購入する人も多いのではないでしょうか。
しかし、ファッション産業が環境問題に大きく起因している産業の1つと言われています。
本日は、ファッション×環境問題というテーマで記事を書きたいと思います。

ファッションと環境問題の現状

生活の三大要素「衣・食・住」の1つであり、私たちの生活と非常に密接な関係にあるファッション産業。
この「ファッション産業」は、石油産業に次ぎ、世界で2番目に環境に影響を与えている産業と言われています。(United Nations, 2019)
ファッション産業では、原材料の調達から、生産、物流、販売までの全てのサプライチェーンにおいて環境に影響を与えています。
環境省の発表によると、原材料調達過程において、合成繊維(ポリエステルなど)の場合は、石油資源の使用や工場でのCO2排出などの環境負荷が発生するそうです。
天然繊維の場合においても、栽培時の水消費や化学肥料による土壌汚染などの環境負荷が発生します。(日本総合研究所, 2020:MoE, n.d.)
上記発表では、2019年時点における服の国内供給量(約35.3億着)をもとに、原材料調達から製造段階までに以下の環境負荷が1年間に排出されていることを発表しています。

  • CO2排出量:約90,000kt(1着あたり25.5kg=500mlペットボトル約255本分)
  • 水消費量:約83億m3(1着あたり2,300ℓ=浴槽約11杯分)
  • 端材等排出量:約45,000t(=約1.8億着分)

また、英国のForeign, Commonwealth and Development Office (FCDO)によって設立され、United Nations Conference on Trade and Development (UNCTAD)と協力して実施されているSustainable Manufacturing and Environmental Pollution (SMEP) Programmeの発表では、以下の通り記されています。(Stockholm Environment Institute and University of York, 2020, p.95)
繊維製品生産は、年間約9,800万tの非再生可能資源(合成繊維を生産するための石油や綿花を育てるための肥料、繊維や織物を生産/染色するための化学薬品など)に依存している
加えて、日本の小売市場で売られている衣料品の約98%が海外からの輸入(MoE, n.d.)であり、製造後、消費者の手に届くまでの輸送においても多くのCO2が排出されていることが容易に想像できます。

ファストファッションの台頭

このファッション産業における問題は、ファストファッションの台頭と大きく関わりがあるのではないかと思われます。
Instagramのハッシュタグ件数を見てみると、「プチプラコーデ」が466万件となっており、近年ファッションを楽しむ人にとって、ファストファッションが大きな存在感を発揮していることがわかります。
実際、私も学生時代はかなりファストファッションブランドに助けられ、今でも学生時代ほどではないとはいえお世話になっております、、、
ファストファッションが全て「悪」、「ファストファッションだけが問題の原因」だとは言いませんが、ファッション産業おける「大量生産・大量消費」を促進し、「ファッションと環境問題の現状」で述べた課題に大きく起因しているのではないかと思います。
日本国内において、アパレル供給量が約19億点(1990年)から約14億点(2019年)に増加しているのに対し、衣服1枚あたりの価格は6,848円(1990年)から3,202円に下がっています。(MoE, n.d.)
また、2020年の国内新規共有量81.9万tに対し、78.7万トンが事業所及び家庭から手放され、その内51万tがリサイクル/リユースされずに廃棄されています。(日本総合研究所, 2020, p.4)
世界的にも、1人あたりの平均衣料購入量は、2000年から2014年にかけて60%増加している一方、購入した衣服を手元に置いている期間は半分に減少しています。(Remy et al., 2016)

ファッション産業における環境問題への対応

ファッション産業の多くの会社は、環境問題に対し重く受け止め、様々な取り組みを進めようとしています。(Matsumoto, 2021)

  • H&M:2030年までに全商品にリサイクル/持続可能な素材を使用
  • ファーストリテイリング:2050年までに温暖化ガス排出量を実施ゼロ
  • バーバリー(英国法人):2022年までに全商品で環境・社会にポジティブな影響を与える
  • アディダス(ドイツ法人):2024年までに全商品でリサイクルポリエステル100%

この問題に対して取り組んでいるのは、ファッション関連の企業だけではありません。
世界有数なファッション大国であるフランスでは、資源の循環と廃棄物の削減を目指した循環経済に関する法律(loi anti-gaspillage pour une économie circulaire)が、2020 年 2 月に施行された。(JETRO, 2021)
これにより、2022年1月から売れ残った衣服の廃棄が禁止され、再利用やリサイクル、寄附することが法的に義務付けられた。
加えて、アパレル企業は、リサイクル素材の使用、有害物質の含有、再生可能資源の利用、リサイクルや堆肥化の可能性といった商品の品質や環境特性に関する情報を消費者が購入時にアクセスできるように表示しなければならない。

これから官民、どちらにおいてもファッション産業における課題への取り組みが進んでいくことが予想されます。

さいごに

ファッション産業は、最も環境問題を引き起こしている産業の1つです。
アパレル企業の多くも課題を認識し、さまざまな取り組みを行い始めています。
また、フランスが世界で初めて法規制を行ったことにより、他国でも法規制が進んでいくことが考えられます。
それでも、まだまだ課題解決には程遠いでしょう。
この課題には、消費者である私たちの協力も不可欠でしょう。

僕の個人的な感想ですが、日本では消費者側の環境意識が低いように感じます。
「プチプラコーデ」のInstagramのハッシュタグ件数 が466万件なのに対し、同様の意味を持つ「affordablefashion」は430万件です。
英語が、多くの国で使用されることを考慮すると少ないように感じます。
もちろん、海外の学生もPrimark等のファストファッションも着ていたりするので、これだけで日本人は環境意識が低いとは言えません。
それでも、「プチプラ」という言葉が日本でバズワードの1つとなっている通り、「安い」という面だけに着目し、その商品がどのような過程で生産されたのかという側面には目を向けない消費者が多いように感じます。
勝手な僕の肌感ですが、、、

また別の機会に、消費者である私たちに何ができるのかということについて記事を書きたいと思います。

参考文献

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